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みんなの心は弾んだのだろうか? 山の奥深くに、負けイヌのように暮らす青年が独りいた。 彼は、この時を歓迎してはいなかった。 まだ、彼の中にはなにも変っていない事があった。 まだ、彼の中ではなにも解決はしていなかった。 でも、時は残酷にも待ってはくれない・・・。 彼もその事は知っていたが、なにも進めないでいた。
ある夜の事、いつものように眠れないでいる彼がそこにいた。 時間は3時頃であったろうか、窓の外を眩しい何かが光った。 「山のほうだ・・・」 彼は驚く様子もなく、ポツリと呟いた。 やがて、その光は、山のふもとの彼の家に近づいて来た。 そして、その光は彼の家を包みこんだ・・・。 彼は、外に出た。そこには、なんと神様が立っていた。 もちろん、神様なんて初めて見る。だが、彼は、なんの迷いもなく ゛神゛と知った。 神様は彼に微笑んだ。彼はなんともいえない感じにつつまれた。 「腹だ腹の中。俺の生まれる前、子宮の中みたいだ・・・」 また、彼は呟いた。しかし、さっきの呟きとは違い、今、彼は にこやかに微笑んでいる。幸せそうに微笑んでいる。 そして神様は彼に言った 「お前にこれをあげよう、大事に磨けば、それはきっとお前のモノになる」 そう言って神様は、彼に一つの゛丸い石゛を差し出した。 その石は、赤黒く、どちらかと言えば不気味な感じのする石だ。 彼は、その両手一杯くらいの石を受け取った。 「お年魂だ」 神様は、そう言った。言ったと同時ぐらいに神様はまた、光となり、山へと 帰って行った。
「夢か・・・」 彼が目覚めたのは昼になりかけた朝だった。 彼の部屋の窓からは、冬とは思えないほどの暑い陽が差し込んでいた。 「・・・」 彼は見つめた。彼の枕もとにある、赤黒い石を・・・。 彼はその石を持ち、その石にかるく、口付けをした・・・。 彼は何を思い、何を磨くのだろうか・・・。
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